この記事の目次

  1. プロローグその2
  2. 目的は「現場作業員の帰宅時間を早める」こと
  3. 利益を生み出しているポイントは「現場作業」である
  4. 業務の見える化をして改善ポイントを探す
  5. 改善ポイントをどうするか?
  6. 業務効率化の目標が決まった!
    1. あとがき

業務が助かる。ITで助ける。

 

 

業務効率化の考え方について色々と書いて来ましたが、何事も実際の例を知ることの方が理解が早かったりします

 

ということで、今回は当社が業務効率化を行ったことで、現場作業員の帰宅時間が1時間~2時間早くなった事例について書いて行きます。なぜ当社の事例かというと、当事者としてのリアリティを伝えられるかなと思ったからです。

 

この記事を書いている今だからというのもありますが、できるだけこれまでに書いてきた業務効率化の手順、方法、考え方について触れながら書きます。なので、思考編と行動編に分けます。今回は思考編です。

 

 

 

プロローグその2

 

 

このサイトのトップページで、(株)東建工業-インターネット事業部-を立ち上げた理由について紹介しています。そのちょうど真ん中辺りで、当社代表が「業務効率化を考えた」と書いています。なので、この自社事例の紹介はプロローグその2といったニュアンスで気軽に読んでもらえればと思います。

 

さて、当時業務効率化の対象となっていたのが、作業日報の作成に掛かる時間と作業員が行っていた事務仕事です。ここからは、当社作業員の作業の流れも書いて行きますので、「そういうものなのか」というように読んで貰えればと思います。

 

というわけで、現在(株)東建工業-インターネット事業部-の課長をしているメガネが拾われてきます

拾われてきたメガネの自己紹介

 

 

目的は「現場作業員の帰宅時間を早める」こと

 

 

まずは、業務効率化を行う目的です。これが無いとぶれてしまい、結果的に効率化されないということになりかねませんので。

 

当社の作業員の一日の動きを簡単に紹介します。

 

早朝、班毎に会社に集まり現場へ向かう

現場に到着し作業開始

夕方、作業完了で現場から会社に戻る

帰社後当日の反省と翌日準備

日報、伝票整理など当日に行う事務作業

帰宅

 

当社の義人社長は帰社後の作業員の動きに疑問を持っていました。一日の動きの中の、

 

帰社後当日の反省と翌日準備

日報・伝票整理など当日に行う事務作業

 

の作業範囲です。メガネが義人社長にヒアリングした事を思い返すと、

 

・帰社後の作業員の動きが散漫で何がしたいのか分からない

・忙しそうな作業員とただ待っているだけの作業員がいる

・忙しそうな作業員も何をして時間を掛けているのかが分からない

 

といった内容でした。まさに、2記事目で書いたムリ・ムダ・ムラがある状況だった訳です。さらに、忙しそうな作業員の動きを見ていて思ったのが、4記事目で書いた会社がやってもらわなきゃ行けない業務とやってもらいたい業務の仕分けが出来ていないんだろうなということでした。

 

それをはっきりとさせるために、帰社後の作業員を観察しながら、業務効率化の手順を踏んでいくことにしました。

 

 

 

利益を生み出しているポイントは「現場作業」である

 

 

ウォータージェット工事のみを営業していた当社にとって、当時利益を生み出しているポイントは、「現場に行ってウォータージェット工事をしてくる。」ということでした。会社に直接利益をもたらす部分=物的労働生産性があるポイントです。特に、ウォータージェット工事は特殊工事に当たるため作業量を増やす事が利益を上げることに繋がりやすいと考えました。(ウォータージェット工事について知りたい方は当社工事部HPをご覧下さい。)

 

ということは、現場作業員が現場作業に関わる事に時間を割ける方が、会社としてメリットがあるという事になります。当たり前の事かもしれませんが、そういうことです。なので、「現場作業に関係ない作業時間をいかに削り、現場作業に関係のある作業時間を増やすか」、という事に意識を向けました。

 

そこで、作業員の一日の流れの現場作業にあまり関係のなさそうな所を洗い出すと、

 

帰社後当日の反省と翌日準備

日報・伝票整理など当日に行う事務作業

 

の作業範囲ではないかと行き着きました。義人社長が問題に思っていた所ですね。現場作業は体を動かして作業するので、いかに体や心を休めて毎日現場に行くかだと思います。そうすると単純に、家に帰る時間が早くなるように効率化をすることで、現場作業に力を使いやすくなるとます。また、行う作業も効率化する事で、事務的な作業にではなく本来時間を使って欲しい現場作業についての計画や準備する時間を単純に増やせます

 

このような考えに行き着いたので、現場から会社に帰って来た後に行っている作業員の作業を見える化することにしました。

 

 

業務の見える化をして改善ポイントを探す

 

 

現場から会社に帰って来た作業員が行っていた動きを簡単に紹介します。

 

荷物の積み下ろし

当日の反省と翌日の連絡事項ミーティング

翌日準備

作業日報の作成

伝票整理・勤怠管理・当日施工実績管理

帰る

 

これを全て班ごと全員で行っていました。すでにムダがあり、さらにムラを生み出していました。事務作業を出来る人間は事務作業を行い、出来ない人間はそれを待つという単純なムラです。

 

そしてよく観察しているともう一つのムダに気付きました。それは、作業日報の作成と各管理業務に使用している時間でした。当時、作業日報はメールで報告する事になっていました。入力する項目は決まっていますが、文章を入力する時間に個人差がありました。また、勤怠や施工実績の管理にパソコンを使用していたので、ここでもパソコンの使用による個人差が出ていました。

 

細かい事を書いて行くと他にもありましたが、簡単に箇条書きすると

・当日の反省と翌日連絡事項のミーティングが必要以上に長い
・各作業の間に待ち時間が出来ている
・連携が悪く意味なく見える動きが目立つ
・やることが分からないため帰るに帰れなさそう

といった事でした。改善方法やそうなってしまっている理由は浮かびますが、まずは対象を限定することにしました。

 

なので、見つけ出した改善ポイントはこの2つが主なものでした。

①帰社後作業の分担と連携の組み直し
②報告・管理業務の簡略化

 

①の中には現場終了後からの時間配分も含まれています。これで、カットすべきムリ・ムダ・ムラが見えるようになりました。この時点で、目標の内容は「現場終了後の各作業員の動きを効率化し、報告・管理業務を改善する」というものになりました。

 

ムリ・ムダ・ムラについてはコチラ:業務効率化とは何か?-洗い出す3つの事はこれです。

 

 

改善ポイントをどうするか?

 

 

次は、見つかった改善ポイントに対して、どのように業務効率化を行うかについて考えました。業務効率化の方法の検討です。

 

業務効率化の方法についてはコチラ:業務効率化を実現可能にする6点の施策はこちら。

 

まずは①帰社後の作業の分担と連携の組み直しについてです。これは、環境整備と教育を行うことで改善可能です。まずは、業務効率化を進める義人社長と部長とメガネで改善ポイントについての情報の共有を行います。

 

メインは、現場作業の流れを把握している職長が会社に帰って来た後の動きについて指揮を執る事です。そのために、まずは帰社後の作業を分ける必要性がありました。まずは、全員でやった方が効率が良い作業と全員でやる必要の無い作業の仕分けです。さらに全員でやる必要の無い作業を誰がやるかを仕分けしました。職長として現場に行く作業員が報告・管理業務を行い、それ以外の作業員は翌日準備や使用する機材のメンテナンスといった作業を行うといった感じです。その内容を職長が把握して指示を出し、指示通りに終わった時点で職長許可の元、順次帰宅するという流れです。

 

また、ミーティング時間を短縮するために、帰りの道中で反省や翌日の確認などを行うと共に作業についての指示も出しておくように、部長監督の下、教育していくという事に決まりました。同時に、帰社時間を早めることで現場作業に備えることができるという業務効率化を行う事でのメリットについての教育もしていくことになりました。

 

次に②報告・管理業務の簡略化です。すでに、メールやエクセルなどパソコンを使用して業務が行われていたわけですが、どうしても生じてしまう個人の差を減らす方法を考え無ければなりませんでした。また、報告業務なので報告を受ける側の意見も取り入れなければなりません。あとは、時間です。報告・管理業務を行うのがパソコンの前だけであることも改善の余地があると考えました。というように、改善ポイントについて掘り下げました。

 

管理業務についていえば、「〇〇の管理業務を職長がやる必要があるか?」ということで仕分けをしていきます。

 

勤怠管理    → 職長が行う必要無い

施工実績の管理 → 職長が行う必要有る

 

といった感じです。職長が行うべき管理項目を見直し、必要のないものは他に割り振って行きました。基本的には事務サイドに割り振って行きます。この時点まで当社に事務員がいなかったため、しょうが無いことではありましたが、良い機会として見直しを進めました。これでまずは簡略化されます。

 

報告業務の業務効率化のメインになるのは作業日報の作成です。作業日報の内容は、実際に作業してくる本人にしか分からないので、本人達にやってもらうしかありません。結論を言うと、ここはITの導入で簡略化を図ります。メール報告での問題点または改善点と感じたのは以下の通りです。

 

・メール送付先の送信もれがあることがある
・定型文のようなモノを使用してはいるが、行ったり来たりして入力漏れがある
・入力速度に個人差がある
・作業日報以外にも報告で使用しているメールが複数ある
・入力した情報を集計で使う時、メールを探して拾い出す必要がある
・メールの送付先が分かっている人しか送れない

 

作業日報の作成と直接関係ない項目もありますが、大まかに作業日報を使う業務を考えた時に、時間を食ってしまっているものも上げてあります。

 

問題点・改善点としてあげた内容への対応策として考えたのは以下です。

 

・送信時に報告先へ一括送信される機能
・入力順をそのまま追うことが出来る入力方法
・個人差の出にくい入力方法
・報告箇所をまとめる
・入力した内容が保存され、一括でダウンロードできるような仕組み
・誰でも作成し、送信できるような仕組み

 

これが実現できれば、簡略化されるであろうと考えたわけです。ここまで考えれば、何かしらの業務ソフトを導入すれば改善出来ると思えますが、業務ソフトの導入を踏みとどまったのが、個人差という問題点です。

 

当社の作業員はどちらかというと、パソコンに苦手意識を持っている人が多いです。当時、パソコンの前に座ってからため息をつく姿を良く見かけました。なので、パソコンメインで使用するモノだと、結局何も変わらないだろうなと思いました。また、その苦手意識から誰でも出来る状態からは遠くなると思います。ちなみに、誰でも出来る状態を作る事で職長が行う指示の一つにすることも可能なので、人を選ぶ必要があるというムラが無くなります

 

悩みました。何を使うのが、入力する作業員にとって壁にならないか。

 

そして、ある日コンビニに買い物に行ってる時に気付きました。

 

コンビニでお昼休憩を取っている現場作業員さんが苦も無くいじっている機器です。

 

そう、スマートフォンです。

 

スマートフォンの入力には苦手意識はないだろうなと予測しました。実際、会社に帰って来た作業員を見ていると、パソコンにはため息はついてもスマートフォンにはため息はつきません。また、スマートフォンであれば、パソコンと違い電源を入れっぱなしなので動きが止ることもありません。

 

なので、スマートフォンで作業日報が作れて、パソコンでもデータが見れるアプリを使えば良いのか!と思いました。・・・が、ここで一回立ち止まりました。

 

なぜなら、パソコンはよく分からないから苦手なんですよね。ということは、機能が多いアプリではよく分からなくて使わなくなりそうだと思いました。それに、せっかくの高機能をムダにしてしまうなとも思いました。

 

要するに、当社の作業員にとってシンプルで作業員が入力しやすく、パソコンでデータ管理が出来るものを使うのがベストかなと考えました。その方が嫌がられず使い続けてもらえるかなと考えました。

 

 

業務効率化の目標が決まった!

 

 

以上の事から、当社が実施した業務効率化の目標は、現場作業員の帰宅時間を早めるために、

・業務の仕分けと教育によって会社に戻ってきた後の作業時間を短縮する
・作業日報の入力や報告をシンプルな形でスマートフォンで出来るようにする

 

ということに来まりました。目的・目標が明確になったので、後は行動するだけです。次回、行動編で実際にどのように導入して行ったかを書いて行きます。

 

 

あとがき

 

 

思考編と題して長々と書いて来ましたが、この記事で知ってもらいたいのは、

 

業務効率化を行動に移す前準備としての思考の流れです。

 

業務効率化を行うに辺り、トップダウン式に上司が命令するだけでは期待通りの効果は得られません。

実際に作業する本人達が実行できるかどうかを考える事が、期待通りの業務効率化を達成する近道です。

 

 

 


 

 

 

 

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